柿の木坂の家
                                
 念仏寺・陀々堂

 大津町の陀々堂(念仏寺)で、毎年1月14日に法要がいとなまれる。大般若経の読経が行われ、鬼走りの行法が行われる。この行法は古代中国から伝えられた達陀(ダッタン)の行法で、主役は鬼が演ずる。本尊阿弥陀如来につかえる善鬼(父鬼・母鬼・子鬼)である。

 達蛇(ダッタン)の行法(妙法)とは、火天(カツテ)の行法と、水天(スイテン)の行法に分けられる。火は聖なるもの、水も聖なるもの。つまり、人間が根源的に生きていくためには、空気とか、自然、火、水を聖なるものと考え、これらにそむかず、生きるあかしとして信じ大切にするという思想から生まれているものと思われる。こうした行法の発祥は、古代イランをへて、中国や印度に伝わり、さらに日本へ伝えられたのではないかと、松本清張氏は、推理している。真言密教(高野山)の行法・春日大社の火祭り・茅原のとんど(御所)・蔵王の火祭り。つまり、火祭りの系統がそれである。

 陀々堂とは、達陀(ダッタン)の妙法を行うお堂ということであろう。
 鬼走りの前に、火天(カツテ)の呪法が行われる。火天(カツテ)の役は、達陀帽(ダッタボウ)をかぶりたいまつをもって正面に現われ、水の字を描き、火伏(ヒブセ)せの行を行う。ある一つの呪法である。これに対し、水天の行法とは、笹竹で桶の水をふりかけ、行者の火傷や床に落ちた火の粉を消す。火神を祭る井戸跡が残されているという。(鬼の井戸)
 さて、鬼走りの行方とは、大般若経の流れる中で、堂内は檜葉をいぶす煙でいっぱい。ぶきみな静寂が流れる。やがて、内陣の奥からカタタン・カタタンの棒打ちの音、それに、法螺貝と太鼓の響き。たいまつの炎に照らされて躍りでる鬼。先頭は父鬼。続いては母鬼・子鬼の順。はしりの行法を鬼がつとめる。走ることにより天上界のぼさつに近づこうとする。燃えさかるたいまつの火で、悪霊をしりぞける行法である。昔から、陀々堂の鬼走りといわれてきた。


 室町時代より続く火祭りは日本一豪快なもので、他の追随を許さぬものがある。


                                         

念仏寺からのご報告
念仏寺落慶法要


平成29年12月2日(土) 午前10時より

日本人が持つ「ふるさと」のイメージを守り続ける念仏寺の茅葺(かやぶき)
屋根の平成の葺き替え大工事が完成いたしました。
念仏寺において落慶法要を営みました。

     10時    会式 来賓祝辞
     10時30分 法要開始 (途中、焼香一般の方もご焼香)
     11時30分 吉野川あばれ太鼓
     12時    もちまき

落慶法要のスナップ写真

このページの先頭に戻る