黒駒町 旧跡と伝承 


黒駒町集会所 吉野川南岸御蔵橋を渡って阪合部文化会館前を通って左へ100メートル行った処から黒駒町に入る。境界は中町、大野町、御山町と接する。
 明応5年(1496)の坂合部殿証文に「坂合部郷殿際目之事中村黒駒村之堺目ハフチノウエノ谷口ヨリ宮之下之四ツ辻ヨリ南へ廻り宮之馬場さ起よ里東へ道限り」などとあり、慶長郷帳では根来長算(根来寺愛染院院主)米津清三郎、細井喜三郎、右兵衛、元和郷帳では、旗本根来長守(長算の子)等の領主であり、寛永郷帳には黒間村とみえ元禄郷帳では黒馬村で村高188、137石、 旗本根来正縄領となり天保郷帳には「古は黒馬村黒駒村」とある。
  嘉禎4年(1238)建立された郷社、御霊神社、落杣神社は当町内にあり、 尚、延喜式などに云われる 丹生の神には、旱には、黒駒、霖雨には白馬を奉った神馬を放牧した場所でこの地名がついたのであろう。
御霊神社・落杣神社
@ 御 霊 神 社(落杣神社)
黒駒町宮山にあり、由来の概要は
 落杣神社は祭神大山祗命坂合部連が祖先累代崇敬した、由緒深 い神社「延喜式神名帳」であり近隣13ヶ町の氏神となっている。
 御霊神社は、嘉禎4年2月(1238)霊安寺の御霊神社から 分祀せられたもので、祭神は宝亀6年(775)4月光仁天皇の皇后井上内親王が御子他戸親王と共に奇怪な死をとげられた内親王をお祀りしている。
宮島風の四脚鳥居に掲げられた額に落杣神社、御霊大明神とある。
 本殿は二2間半に3間半、流造りの銅板葺。木部極彩色を施し、軒は二重繁樫、斗は出組、えび虹梁をかけ、妻を一杯に美し く装飾し随分こった建物である。
 拝殿は12間に2間本瓦葺であったが老朽のため、昭和59年銅板葺きとして再建された。
拝殿前の石燈篭一対は天保9年(1838)鳥居前の一基は文 政5年(1822)、狛犬は万延元年(1860)奉献されて いる。
 境内社は、天皇神社(崇道天皇をまつる)早良親王の追称
社殿42センチメートルに42センチメートル、他に他戸神社、鍵取神社、若宮神社、春日大社、住吉神社、天照大神社、竜田神社、琴平神社、八坂神社、八幡神社、日吉神社、菅原神社等、小社が合祀されている。
 境内は56アールにおよぶ広い面積を占め、旧阪合部村一村の氏神として尊崇され、毎年10月23日には、秋季大祭、毎月は月並祭、氏子総代等がお参りしておこなわれる。

A 御霊神社梵鐘(旧跡)
梵鐘
 神社の前方道端に梵鐘がある。寛政二年(1790)改鋳のもので元禄13年(1700)にすでに梵鐘があり、再造された。
 坂合部郷金龍山の地に勧請したとあり、御霊大明神者井上皇后、早良親王、他戸親王、雷神四社を祀られ、鐘は池の間四区に四天王立像を表わし、銘文はこの像をはさんで刻まれている。
 鐘楼老朽のため郷中氏子等の浄財寄進により平成2年11月25日改築される。

B 招 魂 社(旧跡)招魂社
 御霊神社の参道に面し、15メートルに14メートルの敷地内に大正6年ごろ建立された。
 日清、日露戦争、満州事変、日支事変、太平洋戦争等に従軍して尊い命を国のため捧げた172柱の英霊が祀られている。
 毎年、春に厳粛な慰霊祭が阪合部地区至誠会の方々により行われている。

C 福 生 寺(旧跡)
福生寺 福生寺は、江戸時代の宝暦3年(1753)当時の義教和尚による創建と伝えられる。木彫立像の薬師瑠璃光如来を御本尊と仰ぎ日光、月光菩薩を脇侍仏とする。
 除病延寿、身心快楽を与え現世利益の信仰道場として今日に至っている。また福生寺の寺名の示すように「薬師如来に帰依し一心に信仰に生きれば幸福は自分から生まれて無量の功徳を授かることができる」と伝えられており、現在は高野山派に属する真言宗にして新四国八十八ヶ所第四十九番の霊場ともなっている。
 尚、当山の寺宝として、江戸時代の両界曼茶羅元禄年間の涅槃図等が保存されている。

D 岩神さん(伝承)
 県道より御霊神社に通ずる東参道(石段)の中程にあり、切り立った岩を背に小さな社がある。伝承によれば此の岩に白い蛇が住んでおり、此の岩をなめたと言われ、岩にその様な跡があり、なめた跡には苔が生えないとも言われている。

E 黒駒渡舟場(旧跡)
 往時、黒駒地区と吉野川をはさんで、対岸の二見町川端との間に渡舟場があり、五條方面への交通の一助となっていた。この渡舟場は川の水の少ない、冬春の季節には、簡単な木製の橋をかけ、その橋材をロープでつなぎ増水時に橋は流されても材料が下流へ流されないように管理、川水の少ない時にまたその用材で橋を復旧すると云う方法をとり、橋のない時には御蔵渡舟場と仝じ要領で舟渡しを行っていた。橋は昭和12年頃まで維持していたがその後舟渡しのみとなり、昭和30年頃廃止された。

F 黒駒古墳(円墳)(遺跡)黒駒古墳案内
 落杣神社東参道中腹にある横穴式石室、古墳時代後期のもの、石室の一部が露出し「岩神さん」と称される。





山王神社
G 山王さん(旧跡)
 上ノ段垣内東北大野町との境に三王ノ森(1反1畝6歩)の中程に小さな祠がある。祭神は滋賀県大津市坂本に鎮座の山王総本宮、日吉大社より遷宮日吉白山姫命を主神として祀られている。
 農山林殖産の神として庶民信仰を生み、山王さんと称され崇敬されている。




東の端にある柿の木

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